レビン・トレノ&セリカ

CONTENTS

レビン・トレノ&セリカ
LEVIN・TRUENO & CELICA
究極の保存版 ツインカムの王道

撮り下ろし特別企画

  • TE27カローラ・レビン
  • AE86スプリンター・トレノ3ドアGTアペックス
  • TA22セリカ1600GT

STORY
セリカの生みの親長谷川龍雄氏に聞く
レビン&トレノデザイナー木村雅之氏に聞く
トヨタツインカムの軌跡

レビンのデビューは衝撃的だった。コンパクトなボディに、名機2T-G型エンジンが搭載された。高性能車に若者は敏感に反応した。ラリーフィールドのファンは参加車両としてレビンを購入した。世界のラリーにも挑戦し活躍した。AE86は80年代の人気車種として君臨している。「頭文字D」に登場したスプリンター・トレノは名車になり、レースでも好成績を残した。「未来からやってきた車」という宣伝コピーで発売されたセリカは、日本初のスペシャルティカーとして人気車になった。

迫力の稲妻ツインカムパワー

カローラはサニーより6カ月遅れて66年10月にデビューした。サニーの988ccに対して89ccの余裕ある1077ccで発売された。「プラス100ccの余裕」のコピーで先行するサニーをあっという間に追い抜き、大衆車クラスでトップに立った。初代カローラにはSL(スポーティ&ラグジュアリー)というスポーツモデルが用意された。さらにサニークーペに対して、カローラスプリンターが設定された。  70年5月に2代目のカローラがモデルチェンジされた。ホイールベースを50mm延長し、全長は90mm、全幅は20mm広がった。さらにファミリー層に向けてクーペを設定した。70年8月にはスプリンターが独立モデルになった。 72年3月には待望のホットモデルのレビン /トレノが戦列に加わった。エンジンはセリカ/カリーナGTと同じ2T‐G型DOHC1588cc。最高出力は115ps/6400rpm、最大トルクは14・5kg‐m/5200rpmの性能を誇った。ライバルのサニーはOHVだったが、トヨタはヤマハと共同開発のDOHCを惜しげもなく大衆車に投入した。  この高性能大衆車はモータースポーツの世界に挑戦した。その代表がラリーだった。

軽量&高性能の4A-GEUの走りを体感

83年5月にカローラ/スプリンターはフルモデルチェンジを行い5代目になった。それまでのFRからFFになった。パッセンジャースペースを大きく確保し、コストダウンをはかっている。だが、スポーツモデルのレビン/トレノだけはFRを堅持した。  カローラ・レビンのフロントグリルは2種類。グレードは2ドアがGT APEX、GT、SE、GL、ライムの5種類。3ドアが GT APEX、GTV、SRの3種類。  スプリンター・トレノは全車リトラクタブルランプを採用した。グレードは2ドアがGT APEX、GT、SE、XL、XLリセの5種類。3ドアがGT APEX、GTV、SRの3種類。  84年2月に一部改良が行われた。SE、GTのシート地が変わった。また、アルミホイールのデザインも変更された。 85年5月にマイナーチェンジが行われた。エアカットフラップ一体型フロントバンパー、スポーツシート、オープンスルーヘッドレストを採用。スポーツパッケージのSRが設定された。4A‐G型エンジンにはコーナリングランプが装着された。また、GT APEXにはフロントグリルにビルトインタイプのフォグランプが装備されたが、グリルの奥なので注意しないとわかりづらい。  87年5月にフルモデルチェンジ。惜しまれながらFFのAE92へとバトンが渡された。便宜上、前期型を83年5月~85年5月、後期型を85年5月~87年5月とする。

宇宙的なスタイルのEX-1発展形

69年10月の第16回東京モーターショーで1台の参考出品車が異彩を放っていた。その車はEX‐1。セダン、クーペ、HTでもない個性的なファストバックだった。トヨタのアドバンスデザイングループが作ったもの。それをベースにセリカは生まれている。しかし、EX‐1は2人乗り、レーシングカーに近い運転姿勢の車は量産できなかった。完全なファストバックは後方視界が悪く、リアのパッセンジャーのヘッドクリアランスが小さく、トランクスペースにも問題が残っていた。  当時、アメリカでフォードのマスタングが注目を浴びていた。トヨタ自販はマスタングに似た車を開発してほしいと自工に依頼した。しかし、商品性、価格、販売量、利益などを総合的に考えると難しい、という答えしか出てこなかった。開発責任者の長谷川龍雄は、販売台数が少ないスペシャルティカーをなんとか軌道に乗せるために、カリーナと双子車を作ることによって、利益を出そうとした。さらに、カローラ1400ともエンジン、トランスミッション、フロントサスペンションなどの重要部品を共通化した。ドアパネル、フロントピラー、フロントウインドーシールドなどはコロナと共通だった。 外観のデザインは畔柳俊雄が担当した。長谷川龍雄とのコンビネーションはうまくいき、コンセプト通りのスタイルが完成。ファストバックをノッチバックに変更し、トランクスペースを確保し、5人乗りを可能にした。  セリカは70年12月1日に発売された。エンジンはT型、2T型、2T‐B型、2T‐G型の4種類が用意された。ツインカムエンジンの2T‐G型を搭載したセリカ1600GTは、当時高嶺の花だったDOHCエンジンの大衆化に大いに貢献した。73年4月にはLBと呼ばれるリフトバックが登場した。このLBはコンセプトカーのEX‐1に似ており、トヨタ自販の要望どおりマスタングに酷似したリアスタイルだった。

バックナンバー

関連書籍

NostalgicHero別冊タグの書籍